前回は、弓道競技の規則やルールについて書きました。
今回は、射手にとってとても大切な道具である弽のメンテナンスについて記事にしてみます。
ゆがけの手入れの基本は、汗をかいた後などに湿ったままの状態で放置しないこと。必要ならば、陰干しなどをしておくことになります。
今回は、少し踏み込んで、ゆがけにくすねを塗り込んでみます。
初心者の方は、いきなりやることはないと思いますが、少しでも自分の道具のメンテナンスができるようになると、道具に愛着もわくし、道具の調子もわかるようになりますので、そんなこともできるのかと眺めてみてください。
新品のうちは気になりませんが、練習を重ねていくうちに、徐々に弦枕のくすね(茶色い部分)が減ってきます。そのままだと弽そのものを痛めてしまうので、「くすね」を塗布したいと思います。
弓道具店などで、手入れするところを何度か見学させてもらえたら、いろいろ質問をしておくのが望ましいのですが、なかなな出向けない方もいると思いましたので、こちらの記事にまとめてみました。
用意する道具について
用意するのは「くすね」塗布用に古い千枚通し。木の持ち手の道具。
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千枚通しがない場合、五寸釘などのやや太めの釘があれば、使用できます。ただし、その際は素手では絶対に持てなくなるので、別途ペンチなどを用意して釘を挟んで固定できるようにしましょう。
上にあるスパナは、くすねがコロコロ動かないようにするためだけに使います。
こんな感じでくすねを押さえるために使用しました。くすねの入った容器はとても軽いので、熱した千枚通しをあてたときに転がり落ちる可能性が高いので、仮固定するようにしています。
実際には、どんなものを使ってでもくすねの容器が動かないようになっていれば大丈夫です。
弓道具店では七輪や火鉢を使ってコテなどを熱します。
一般家庭の場合、ガスコンロがあれば、そちらを利用します。
ご家庭の場合、例えばポータブルコンロなどを利用するのもOKです。キャンプ用のカートリッジ式ガスコンロを使うなど工夫しましょう。
千枚通しがなくても、五寸釘などをペンチで挟んで利用してもいけるでしょう。
くすねに、コンロで熱した千枚通しを軽く接すると、とろっと溶けて半液体のようになります。
本当に少しだけくすねを取って弦枕に塗布します。
弦枕に強くあてるのではなく、必要な場所を暖めながら塗り込むというイメージでゆっくりと作業をします。
千枚通しが丸ければ、軽く左右に回転させながら塗るとまんべんなく塗れます。決して一箇所に集中して押しつけるようなことはないようにしましょう。
多めの範囲に塗ってある弽を見たことありますが、私の場合は使用箇所のみといってもいいくらいの場所にしか塗りません。
最終的にこのような感じまで千枚通しの丸い部分を上手く利用して塗ってあげます。
実際に弽を使用して練習を再開するときにも注意してください。
塗布後は、しっかりと乾かしてからお使いください。ベトベトしているからとティッシュペーパーなどで拭くとティッシュが張り付いて大変なことになります。
塗った量にもよりますが、ベトベトとした感じが残っていると弦にくすねが付着します。
練習再開の時には、余分なくすねが自然に取れるまで古い弦を利用するなどしてください。古い弦などが無いようであれば、弦枕のくすねが安定してから汚れた中仕掛けを一度外して、再度中仕掛けをつくるようにしましょう。
弽は、射手にとってとてもとても大切な「かけがえのない」ものです。
「かけがえのない」という言葉の意味には諸説あるようですが、弓道のこの弽(ゆがけ)に由来するともいわれています。
弽のことを「カケ」と呼んでいる人を見聞きしたことがあるのではないでしょうか。弽は、自身の手形をとって、作成してもらうのが一番です。このカケが無ければ射手は本来の力を発揮できません。したがって、カケ替えのできないものから転じて「かけがえのない」=(代わりになるものが無い、とても大切なもの)という言葉となったともいわれています。
また、ボロボロになるまで使い込んだ弽のことを「射手の襤褸弽(いてのぼろゆがけ)」ともいいます。いつか新しい弽を購入することがあるかもしれませんが、私の弽も弓道をはじめたときから錬士五段のいままで使い続けています。
画像だけではわかりにくいところもあると思いますので、動画にしたものも載せておきます。
早朝に家族を起こさないように台所でコソコソ撮影したので、声のトーンが低くて暗い感じですみません(汗)
あなたも、ご自身の弽を大切に(手入れを怠らず)扱ってあげてくださいね。
次回は、初心者の審査はいつ受ける?について記事を書きます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。