『矢取り(やとり)』に行った方から質問を受けた内容を動画とブログ記事で解説してみます。
初心者向けに言葉を添えると、弓道の練習では、矢を射た後には必ず的の所まで行って『矢』を回収しなければなりません。
矢を回収する人は、(学校などの生徒が多いところでは違うかもしれませんが)一般的には「大前(おおまえ)」または「一的(いってき)」と呼ばれる場所(いちばん前)で弓を引いた人が取りに行きますので覚えておいてください。
射付節部分の赤い点について質問がありました
質問内容は以下の二つ
1.『この矢に付いている「赤い点」は何ですか?』
2.『どうやって付けているんですか?』
1.の回答「射付節」の印
上記の竹矢の写真で青い〇が付いた部分を見てください。この赤い点が付いた部分のことを射付節と呼びます。
射付節の補足
竹矢というのは、文字通り天然の竹を材料にして作られています。
竹には節(ふし)が存在します。節の部分は、本来太さが違ったり、枝分かれする部分になるので、枝を落とすと若干のくぼみのようなモノができたりします。
その部分に、竹矢では赤い印(白もある)が付けられています。
竹の節の中には強度を補完するための膜がありますが、新素材そのものは肉厚などで強度を調整できるので節は不要。
したがって、ジュラルミンやカーボンなどの新素材であれば、工業製品ゆえ精密に1本のシャフトが節を作らずに作成することが可能になりました。
天然素材の竹で矢を作るときに、人によって異なる矢尺に合わせ、全く同じ位置に射付節や箆中節・袖摺節・羽中節を寸分違わず複数作るということが容易なことかどうか。
残念ながら、矢尺が長くなればなるほど、弓具店で自身にピッタリの竹矢に出会えることはなかなかありません。
天然素材の竹で、長さ、重さや強度を同じように作るというのはたいへん難しいことなので、価格もそれ相応になってしまいます。
加えて、羽の種類によっては竹弓よりも高価な竹矢が存在します。
もしも、竹矢で継矢をしてしまったらと想像すると震えてしまいますね。
ジュラ矢やカーボン矢は6本1セットとして販売されているものが多いと思いますが、それも工業製品であるから普及したといっても過言ではないでしょう。工業製品様々です。
2.の回答 印の付け方
それでは、本題の印の付け方について解説していきます。
まずは、動画でも解説していますがキャプチャ画像を使って確認します。
通常、矢筈を弦に番(つが)えるときには、走り羽が上にくるようにします。
※矢摺羽だけが弓の矢摺籐に接触するので早く痛む欠点があります。
矢尻から、およそ10~15cm程度の場所に付けましょう。
矢を持って入場する際に射付節付近を持ったとき、約10cm程度、弽から矢が前に出るように手の大きさに合わせて位置を決めましょう。
まずは、汚れを落としましょう。
食器洗い用の洗剤で充分ですが、しっかりすすいでから水分を拭き取って乾燥させてから作業に入ります。
ニッペ・ペイントマーカー(カラー:F-65)もポスカ(あか)もペンの中に玉が入っていて、振るとカチカチ音がします。
しっかり振って、いらない用紙などに押しつけてインクを染み出してから印を付けましょう。
最初からたくさん付けすぎないようにしておきましょう。
一度塗ったら、15~30分程度時間をおいて、完全に乾燥してから同じ作業を繰り返していきます。
何度か重ね塗りを繰り返すうちに、しっかりと色も乗ってきますので焦らずいきましょう。
持ち方にもよりますが、人間の指先はとても敏感なので、凸があると見なくても向きが分かるようになります。
羽側も走り羽を上下に重ねるようにして、しっかりと甲矢・乙矢の2本を射付節付近で握れば、入場してから甲矢の矢番え動作の最初まで2本がズレるととはありません。
そうすることで、甲矢を弓の左側に送って筈に弦を番えるときにも、走り羽を上にするためにクルクル回す必要がなくなります。
上側に持っていた乙矢も、射付節部分は下になっているので、自然と下記の画像のように赤い点が上に来て、走り羽が下を向くようになります。
最初のうちは、握りがズレてしまってシャフトがズレ、羽側もクロスしたりと上手くいかないかもしれませんが投げやりにならずに練習しましょう。
握る強さ加減を入場→体配→矢番え動作まで均等にできると、きっと美しい体配に近づきます。
左手の弓の握りについても力加減を覚えて、常に矢と同じ角度で体配を行えるようにしましょうね。
まとめ
今回は、射付節の印をジュラ矢やカーボン矢に付けることについて書きました。
印が付いていなくても、目をキョロキョロさせれば矢を番えたり向きを揃えることはできます。的中だけでよいのであれば、射付節の印を付けることも無用だという人がいるかもしれません。
しかし、競技中心ではない弓道の世界についても少しでよいので目を向けたり、知っておいても損はないのかなと思います。
生活を豊かにするために、弓道という一つの手段を愉しめるようになるのも案外いいものですよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。