前回は、弓道をはじめる前にすることについて書きました。
今回は、中学生・高校生に向けて、目標を決めておけば早く上達できるようになりますよというお話です。
4月に入り、新年度がスタート
大人の弓道場でも新しい年度がはじまり、弓道教室の準備が進んだりしています。また、各連盟の年間行事予定や弓具店などから送られてきた1年間の行事予定が張られたりして、新しい年度になったんだなぁと感じます。
中学校や高校の弓道部では、新入生に部活動の紹介をして勧誘活動が盛んになる頃ですね。
学校によっては、先輩部員達が演舞を見せて精一杯魅力を伝えようとしたり、昼休みや放課後に新入生を誘う様子が見られるのではないでしょうか。
部員が、弓道着で弓を引く姿は、かなりポイントが高いですしね。
今まで見たことがなかった児童・生徒は、興味を持つこと請け合いです。
人は好奇心旺盛な生き物ですから、初めて見るものに惹かれる(興味を持つ)傾向があります。
この記事を読んでくれているあなたは、とにかく弓道のことを何でもいいから知りたくて、右も左もわからない状態のまま、ここにたどり着いたのかもしれませんね。
安全の配慮について
ここは、指導する側にも理解しておいてほしいことになりますが…。
まずは、安全第一ということです。工事現場ではありませんが、万が一のことがあれば大けがでは済まない可能性があります。
現に、部活動中に部員に矢があたるという事故が過去にも起きています。学校によっては、事故の新聞切り抜き記事などを道場内に掲示しているところもあるかもしれません。
もちろん、安全への配慮を指導するのは、指導者であり、先輩になります。しかし、実際に毎日活動する生徒全員が同じ気持ちで安全について考えておかないと不幸な事故が起きてしまいますから要注意です。
これから始めるあなたは、どんなことが危険で、防ぐためにはどうすれば良いかをきちんと聞いておきましょう。
事故の種類として、最も防がなければならないのが、射手の射た矢が他の人間にあたることです。射場と安土側での人の動きを確認する習慣を早く身につけましょう。
そして、学生生活のなかの弓道を通して、大きく成長してほしいものです。
目標設定(短期・中期・長期)
ここでは、区切る単位を短期(日々の練習)、中期(数ヶ月から半年)、長期(1年後)として書いていきます。
短期目標(日々の練習)
短期の目標とは、その日の練習で、具体的にどのようなことを学ぶのか、身につけるのかということです。限られた練習時間の中で、効率よく成長するためには、その日の自分の目標・課題を正しく理解することが必要です。
指導方法は、各学校で指導者の有無、先輩達の力量やそれまでの育成方法によって異なります。指導する側が、本日の目標を伝えてくれたら、欲張らずに言われたことをこなしていきましょう。
弓道用のノートにその日の目標と結果を自分の言葉で書き込んでいくと、自分の成長のペースやいまできること、できないことの振り返りに利用することができるのでお薦めです。
弓道用のノートが面倒であれば、弓道教本に直接書き込むスタイルをお薦めします。本に直接書くことに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、指導を受けたポイントのページに書き込むことによって、練習後に教本を読み返して理解を深めたりすることができます。
また、審査などの筆記対策をするときにも、書き込んだページに近い問題というのは、教本丸写しではなく、自分の言葉で答えることができるようにもなるのでお薦めです。
最初は、覚えることがたくさんあるので、気がつくと忘れているということがないようにしましょう。
すでに2年生ならば、1年間の練習内容や大会の時期なども理解していると思います。先を見越した上で日々の練習目標を決めましょう。
そして、3年生であれば、残すところ数ヶ月で引退という人が多いでしょう。現実的に最後の大会までに身につける必要があるものがないか、指導者に聞いてみましょう。
中期目標(数ヶ月から半年)
中期の目標で、目安として利用しやすいのは、各種大会であったり、審査会になります。
弓道未経験の新入部員だと、いきなり大会や審査といわれてもピンとこないと思いますが、まずは、3年生が引退するまでにどの程度までレベルアップする必要があるのかを考えてみましょう。
部員数が少ないところだと、3年生が抜けることにより団体戦のメンバーが不足することもあり得るかもしれません。先輩の人数をみれば推測できますね。そうなると、当然新入生の中にも次の大会で出場する機会が生まれます。
切実な問題なので、「できません」と言わずに済むようこれから目標を設定して頑張りましょう。
2年生は、3年生と一緒に弓道をする機会が残り数ヶ月になってきました。高校生は、夏のインターハイまでですね。ただし、全国大会に団体も個人も全員が残ることはまれなので、引退するタイミングが、同じ3年生でも異なるかもしれません。
3年生は、いよいよ残すところの大会も数少なくなってきたと思います。中てなければ、大会では勝ち進むことができませんが、弓道の本質を理解するよう努力しましょう。
審査会が各地域で行われていますので、身につけた技術や心を試してみるのもいいですね。むやみやたらに受審することもないですよ。技量がともなわないのに受審をして、高い受験料を払うこともありません。
周囲にあなたの技量がどの程度か判断してアドバイスをしてくれる指導者がいれば良いですね。いなかった場合は、先輩の中で自分が受審する段などを持っている人に聞いてみましょう。
長期目標(1年後)
1年後となると、判断しにくいと思いますので、結構大雑把な目標でも構いません。ただし、いつ立てた目標なのかは、必ず記録しておいてください。曖昧なままにしておくと、1年間の期間が、自分の都合に合わせてどんどん後ろにずれていくことになります。
1・2年生は、まだ中学生または高校生ですが、3年生にとっては、それぞれの学校を卒業しています。
弓道を通して学んだことが、日常生活や進路に生かされるようになっていると嬉しいですね。
まとめ
実は、この目標設定というのは、弓道に限ったものではありません。
趣味でも勉強でも何でもいいです。
目標を持たないまま、ただ練習(時間を浪費)するのではなく、限られた時間を有効に使うことが人生を豊かにするための一つの条件になり得るということに気がついて欲しいのです。
生徒のみなさんが、人生を豊かにしてくれる可能性を持った弓道というスポーツを通して成長することを陰ながら応援しています。